ゲームの作り方 シナリオ編



シナリオを書く前の準備

 ゲームのシナリオを書きたいと思った時、どんな準備をすればいいでしょうか。
 シナリオに挑戦する前にしておくことを書いておきます。


道具をそろえる

 シナリオ担当者の仕事は、ほとんど文章を書くことです。
 ですから、文章を書くための道具が必要です。文章を書くための道具は、「紙と鉛筆」か「パソコン」かのどちらかでしょう。
 しかしどちらにせよ、コンピュータゲームを作る場合は、パソコンで読み込める形の文書にしないといけませんので、パソコンで書くのが普通です。

 パソコンで書く場合、「テキストエディタ」「アウトラインプロセッサ」「ワープロソフト」などで書きます。どれを使うかは自由です。使いやすいものを選びましょう。

 下記でゲーム製作に役立つソフトを紹介していますので、参考にしてください。
 フリーソフトでも、優秀なものがたくさんあります。
>>>ゲーム製作に役立つソフト


文章の書き方を身につける

 当たり前のことですが、シナリオを書くためには、日本語の基礎を身につけていないといけません。(もちろん日本語のシナリオを書く場合はですが)

 日本は、教育の水準が高いため、義務教育を終了していれば、日本語の基礎は身についていると思われます。しかし、現実には中学を卒業した程度のレベルでは、シナリオを書くには不十分です。(もちろん個人差がありますが)
 なぜ、そうなのかと言えば、学校教育では実践的な経験がほとんど得られないからです。
 単に理屈として日本語の書き方を覚えるということだけでなく、分かりやすい文章、美しい文章を書くためには、それなりの経験が必要です。

 シナリオを書くために必要な、基本的な知識や技術を身につけるために、どうすればいいか書いてみたいと思います。


本を読む

 文章の書き方を学ぶなら、何と言っても本を読むことです。月並みですが、効果があります。
 ゲームのシナリオを学ぶなら、ゲームをプレイした方がいいと思うかもしれませんが、あなたが初心者なら、ゲームではなく本を読むことをお奨めします。
 まず本を読んで、基本的な文章力を身につけましょう。

 どんな本を読むべきかと言うと、やはり無難なのは小説ですね。プロの書いた作品を読んで学びましょう。買わなくても、図書館でいくらでも借りられますし、インターネットで過去の名作を読むことも出来ます。
 下記の青空文庫など、お奨めです。
>>>青空文庫
 著作権の関係で、少々古めの作品が多いですが、名作が読み放題です。

 作品の内容は、好きなものでかまいません。別に小難しい作品でなくても勉強になります。むしろ、難しくない読みやすい作品の方が、初心者には学ぶところが多いでしょう。(読みやすい文章を書くということは、文章を書く上でもっとも大切なことですから)


レビューを書く

 本を読んだら、その本のレビュー(評論/批評)を書いてみましょう。
 小学生の頃、学校で読書感想文を書かされたと思いますが、そういう感想文のようなものを書けば良いと思います。ただし、小学生レベルのものを書いていてもあまり成長がありませんので、ここは物書きらしく、少し深い考察で書いてみましょう。
 例えば、下記のようなことを書いてみると良いと思います。


○作品の説明
 どんな作品だったか、簡潔に的確に説明する。

○その本を選んだ理由
 なぜ、その本を読もうと思ったか。どんなところに惹かれたのか。最初に抱いていた印象など。

○感想
 読み終わって、どう感じたか。読んだ後に印象は変わったか。自分の気持ちが変化したか。何が印象に残ったか。

○テーマについて
 その作品のテーマは何だったのか。テーマはうまく表現できていたか。作者は何を言いたかったのか。

○良かった部分・良くなかった部分
 どんなところが、良かったか。良くなかった部分はどこか。どうすれば、もっと良くなると思うか。



 ただ、何も考えずに読むより、レビューを書くほうが、作品に対する理解が深まります。
 作品を分析し、作者の意図を感じ、技術や技法を学びましょう。


物語を書く

 ある程度本を読んだら、次は自分でも書いてみましょう。
 最初は、なかなか形にならないかもしれないですが、それでもかまいません。いきなり、すらすらと書ける人などいませんから、最初は書けるところから書いていけばいいのです。
 会話でも、ストーリー展開でも、世界設定でも、何でもいいので書き溜めていきましょう。それを、少しづつ膨らませて、物語にしていきます。

 また、既存の作品を利用させてもらうと言う手もあります。気に入った小説や漫画、映画などの設定やキャラクターをそのまま使い、別の物語や外伝のようなものを書いてみます。いわゆる二次創作と言うやつです。
 あるいは、昔話や童話などを設定を変えて、焼き直してみるというのもいいでしょう。
 一から全部自分でやろうとすると大変ですので、既存の作品を利用して練習してみると良いです。
 

人に読んでもらう

 文章は、人に何かを伝えるために書くものです。ですから、人に読んでもらわないと意味がありません。
 読み、書いたら、次は誰かに読んでもらいましょう。
 人間というのは、つい自分に都合のいいように考えてしまう生き物です。ですから、読む人のことを考えずに好き勝手に書いていくと、独りよがりな文章になってしまいます。
 そうならないために、人に読んでもらって評価をしてもらうことが大切です。

 人に評価や感想をもらうと、思っていたほど伝わらなかったり、人によって捉え方が違ったり、ということに気づくと思います。
 そうやって気づいたことを、次の文章に生かしていきましょう。

 また、人に読ませることを意識して書くことによって、客観的な目を養えます。
 他人が読んだ場合に、どう理解するか、どう感じるか、という客観的な視点で自分の文章を評価出来ると、独りよがりな文章を書かなくなります。

 ただし、他人に読ませる前に、少し覚悟が必要です。なぜなら、良い評価が得られるとは、限らないからです。
 自分が面白いと思って書いた作品を、けなされたり否定されたりすると、当然ショックを受けます。場合によっては、それが原因で、書くのが嫌になってしまうこともあります。 
 しかし、傷つくことを恐れて誰にも見せなければ、先へ進めませんので、「否定されることもある」ということを覚悟して読ませましょう。

 最初は、なるべく理解してもらえそうな人に見せるといいでしょうね。また、一人だけではなく、何人かに見せて色んな人の意見を聞くのも良いでしょう。(ある人はつまらないと言っても、ある人は面白いというかもしれません)
 そして何より大切なのは、批判をしっかりと受け止めることです。批判があるのは、当たり前だと思ってください。特に初心者の場合、多くの人に賞賛されるような物語を、いきなり書けるなんてことは、まずありません。
 批判を受け止め、それを次の作品に生かすことで、成長していくことが大事です。批判は、自分が成長するために必要なものだと考えるべきでしょう。



Last Updated : 2006-10-11

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