オープニングは、自動的に流れますので、プレイヤーは何も考えずに見ていればいいだけです。したがって、ゲームの世界にスムーズに入りやすいというメリットがあると思います。
また、作者が完全にコントロールできますので、好きなように演出し、盛り上げることが出来ます。
その反面、プレイヤーがコントロールできないだけに、長く続けるのは賢明ではありません。
オープニングは、あくまでゲームではないので、なるべく短い時間に凝縮したほうがいいでしょう。長々とオープニングを続けると、「いつまで経っても、ゲームが始まらん!」と、プレイヤーをイラつかせることになってしまうかもしれません。
時間的には、3分くらいまでだと思います。(もちろん、オープニングの面白さによっても、どの程度持たせられるか変わって来ますが)
また、オープニングは見せ場であるだけに、そこで気に入ってもらえないと、プレイヤーに見捨てられてしまう可能性もあります。
下手なオープニングを作って、プレイヤーに「ダメだこりゃ」と思われてしまうのが、最も大きなデメリットかもしれません・・・。
具体例として、筆者の作品「トラベラー改良版」を取り上げます。
誤解の無いように言っておきますが、これが良い例というわけではありません。どういう狙いでシナリオを書いているか分かっていただければよいと思います。
その狙いが成功しているかどうかは、各自で判断してみてください。
「トラベラー改良版」は、下記でダウンロードできます。
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トラベラー改良版サポートページ
RTPをインストールしていない人は、RTPのインストールも必要です。
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RTPのダウンロード
トラベラーのオープニングは、2人の主人公が山に登るところから始まります。
ここでやっておきたいのは、ゲームの説明です。先に書いたように、「世界」「登場人物」「状況」について、このオープニングで説明し、プレイヤーに状況を把握してもらいます。
長さは、約2分程度です。この程度なら、長すぎることは無いでしょう。
まず、最初の会話で、主人公の名前が、ジェードとベリルであることが分かります。
また、ベリルがジェードを師匠と呼んでいるので、2人の関係が師弟関係であることが分かります。
また、ゴールドストーンという地名も出てきます。(この時点では、地名かどうかはっきりとは分かりませんが)
【これで、主人公の名前と関係の説明が済みました】
次に、少しプレイヤーが操作できるようになって、山の頂上へ上ります。すると、遠くに町らしきものが見えます。
ここの会話で、どうやら昔馴染みの土地に久しぶりに帰ってきたということが分かります。
【これで、現在主人公が置かれている状況の説明が済みました】
また、最初の町で出会うことになる、「ぺリドット」「ジェードの師匠」「ぺリドットの娘」についても触れています。
これは軽い伏線ですね。例えば町へ行くと師匠とけんかしますので、事前に師匠との関係をにおわせるために「しかし、あのババァの顔見なきゃならんと思うと、帰る気もうせるね。」というセリフがありますし、見違えるほどきれいになったぺリドットの娘にびっくりしたりするので、「旅に出た時は、まだ青臭いガキだったがさぞかし奇麗になったことだろう…。」というようなセリフもあります。
【これで、伏線張りが済みました】
それから、町へ行ったら「まずぺリドットの店へ行く」というプレイヤーへの指示も出しています。
【これからどうすべきなのかという説明が済みました】
全体を通してジェードとベリルの性格も表現しています。
例えば、ジェードの師匠に対する物言いや、ベリルに対する態度から、ちょっと性格が悪そうだということが分かります。
ベリルは、少々世話の焼けるあまり出来の良くない弟子であることが分かります。また、子供っぽい容姿や性格であることも分かります。
【これで、主人公の性格の説明が済みました】
ちなみに、最後のところで、「いざ、ゴールドストーンへ!」と言っているので、これでゴールドストーンが地名であると分かります。
世界観については、さほど説明していません。
これは、一般的なファンタジーの設定なのでさほど説明がいらないということもありますし、グラフィックで大体把握できるためです。もちろん、最初からファンタジーRPGとして配布しているということもあります。
説明できていないのは、主人公の職業と目的ですね。
職業については、次の「最初の町」で説明します。ちょっと変わった職業なので、オープニングでは説明せず、最初の町で少しづつ説明していきます。(神霊治療の手引書というアイテムで、いつでも説明を読めるようにもなっていますが)
目的に関しては、当面は「里帰り」なのですが、それについては大体雰囲気で分かるでしょう。
もっと大きな全体を通しての目的は、この時点では出てきません。
ゲームをスタートして、最初にプレイヤーが主人公を操作して歩き回れる場所、それが「最初の町」です。もちろん、町とは限りません。村かもしれませんし、城かもしれませんし、山の中の一軒家、あるいは洞窟の中かもしれませんが、ともかく最初の場所ですね。
この、最初の町までで「導入部の目的」のところで書いた「ゲームの説明」をすべてしてしまうのが良いと思います。