企画書の書き方
企画書は、ゲームの概要をまとめた書類です。他の人に、自分の考えたゲーム(企画)を分かりやすく伝えるのが目的です。
また、他の人に見せるためだけではなく、自分自身で企画内容を検討するのにも有効です。
企画書を書く目的を次にあげてみます。
企画書は、自分の企画を再確認するのに役立ちます。頭の中で考るのと、文章にするのでは、違う点が色々あるからです。
例えば、頭で考えているときには気が付かなかったことにも、文章にして順番にまとめていくと、気が付くことがあります。
また、アイディアの段階では、すごく面白そうだったのに、企画書にしてみたらそうでもなくなった、ということもあります。
逆に、企画書を書いているうちに、アイディアが錬られてくるということもあります。
いずれにせよ、頭の中だけで考えていると、頭でっかちになりがちですので、文書にして確認し、さらに他の人に見てもらって意見をもらうと良いでしょう。
そうやって、企画内容を検討していくことが、良い企画につながります。
どんなに良いアイディアでも、実現できなければ意味がありません。
例えば、今使っている環境では製作できないとか、非常に高度な技術が必要になるとか、規模がものすごく大きいとか、実現できない理由は色々あるでしょう。
そういったことを、この段階で検討しておくべきです。
どんなゲームを作りたいのか、メンバーに理解してもらうために書きます。
また、メンバーに企画に参加したいと思わせるために、魅力的な内容の企画書でアピールします。
自分の考えを、人に理解してもらうというのは、結構難しいことです。しかし、グループ製作をするなら、まず人に理解してもらわなければ始まりません。
自己満足ではなく、いかに他人に分かりやすく伝えるかということを考えて企画書を書きましょう。
企画書を書く人(プランナーとか企画担当などと言います)は、多くの場合ゲーム製作の中心になって指揮を執ることになります。映画で言えば、監督のような立場にあります。
この仕事は、ゲーム製作に熱心で、知識もあり、能力も高くなければ務まりません。そこでとりあえず、良い企画書を書いて見せることが、メンバーに対して自分の能力を証明することになります。
逆に言えば、企画書も満足に書けない企画者は、立派な監督には成り得ないと言えます。
また、他のメンバーは、絵を描くなり音楽を作るなりといった何らかの技能(スキル)を持って集まっているはずです。企画者はそれらのスキルを見定め、選定することがあります。つまり、この人は十分な能力を持っているからメンバーにする、この人は能力が無いからメンバーしない、というようなことです。
企画者が、スキルの有る無しでメンバーを選ぶのに、企画者自身がスキルを示さないというのは不公平でしょう。企画者のスキルは簡単に示せるものではありませんが、少なくともその一部は、企画書を書くことによって示せます。
人の上に立つなら、まず自分自身が能力を示すこと、これは最低条件だと思ってください。
ゲーム製作をするためには、多くの能力を身に付けなければなりません。
特に、自分が中心になってゲームを作ろうとするなら、企画力、文章力、プレゼンテーション能力、リーダーシップなどが必要になってきます。もちろん、ゲーム全般の知識も必要です。
しかし、実際のゲーム製作は、練習でやるというわけにはいかないので、練習によってこれらの能力を高めるのは難しいものです。
そこでまず、企画書を書いて練習しましょう。企画書なら一人で書けますので、実際の製作の前に練習できます。
企画書じゃ、本当のゲーム製作の練習にはならないと思うかもしれません。確かに、本当のゲーム製作は、企画書を書くよりずっと大変で複雑です。しかし、だからこそ、企画書を書く練習だけでも、事前にやっておいた方がいいのです。
また、企画書を書くだけでも、いくつかの重要な能力を身に付けることはできますし、ゲーム製作に限らず、人に自分の考えを説明すること、分かりやすい文章を書くことは、とても大事なことです。必ず役に立ちますので、やってみてください。
頭の中の記憶は、すぐに消えてしまいます。何かアイディアを思いついたら、どんどん書いて企画書にしていきましょう。後で役に立つことがあるかもしれません。
企画書としてまとまっていなくても、アイディアメモのようなものを書いておくと良いです。大事な財産になります。
企画書を書く人は、プランナーとか企画担当、企画、企画屋などと呼ばれます。
多くの場合、ゲーム製作の中心になって指揮を執ることになります。映画で言えば、監督のような立場にあります。
とは言え、最初から重責を担うことを考えていては、先へ進みづらいですので、とりあえずは何も考えずに企画書を書いてみましょう。
初心者の場合、頭の中ばかりで考えて頭でっかちになりがちなので、企画書を書かずに企画を立てることは危険です。頭の中だけで考えていると、面白い部分や都合のいい部分しか考えないので、なんだかすごく面白そうなゲームができる気がしてしまいますが、現実はそう甘くはありません。
文書として企画書にまとめようとすると、いかに自分の考えが足りなかったか分かります。さらに企画書を人に見せて、分かりにくいところや疑問に思うところなど指摘してもらうと良い勉強になります。
ともかく、企画の第一歩は、企画書を書くことからです。企画書もまともに書けない人が、良いゲームを作ることはできません。
良い絵を描くために、グラフィックデザイナーが、何枚も絵を描いて練習するのと同じことです。企画をやりたいと思うなら、何枚も企画書を書いて練習しましょう。
企画書を書く道具は、大まかに分けて「紙と鉛筆」と「パソコン」でしょう。
最初のアイディア出しや絵を描きたいときは「紙と鉛筆」が有効です。しっかりした書類にまとめるなら、やはり「パソコン」ですね。使い分けましょう。
企画書を書くのに向いたパソコンソフトを紹介します。
いわゆるアイディアプロセッサとかアウトラインプロセッサと呼ばれるものです。
どちらも、アイディアを書き留め、それを整理して、まとめるためのソフトです。アイディアプロセッサは、主に流れ図などを書きながらアイディアを整理するためのソフトで、アウトラインプロセッサは、項目を整理しながら文章を書いて行くソフトです。
インターネットで活動する場合、企画書や仕様書などを、最終的には、コンピューターで読込めるファイルの形にしなければなりません。
そうなると、どんな形式のファイルにするかが問題になります。仕様書の作成などは、大変な仕事ですから、なるべく負担を減らすため、編集しやすいソフトが使えるといいですが、スタッフの誰もが読めないといけないので、標準的な形式のファイル(例えばHTML)を作れた方がいいでしょう。
選択肢のひとつは、「MS-Word」に代表される、高機能ワープロです。これらのワープロには、大抵アウトラインプロセッサに近い機能がありますし、HTMLファイルもサポートしています。これらのワープロソフトを使っているのなら、そのソフトで作っていけばいいでしょう。
もうひとつの選択肢は、フリーソフトです。ネット上に公開されている、無料のソフトをダウンロードして利用できます。
下記でゲーム製作に役立つソフトを紹介していますので、参考にしてください。
ゲーム製作に役立つソフト
企画書を書く際に重要な点を、いくつかあげてみましょう。
まったくもって当たり前のことですが、一番難しいことでもあります。そんなに簡単に、面白い企画を思いつけるなら、誰も苦労はしません。こればっかりは、努力でなんとかしてください。
ただ漫然と考えたり、既存のゲームの枠にとらわれたりしないで、「このゲームの何が面白いんだ?」ということを常に意識しながら、考えると良いと思います。
企画書は、他人に読んでもらうものですから、分かりやすい事が最低条件です。ですから、まず、読みやすい文章を書くことが大事です。
書く事を項目ごとに整理して、順に説明して行きましょう。
項目ごとに整理して文章を書くと、分かりやすいですし、必要なことを的確に書けます。
また、読む方も、項目のタイトルを見て、興味の無い部分やすでに知っている部分は読み飛ばせばいいので、読みやすくなります。(これが、ひとつの文章で長々と書いてあると、どこに何が書いてあるのか分かりにくく、読みにくくなってしまいます)
流れ図(フローチャート)や絵などを使って、説明するのも良いです。特に、ゲームの流れを流れ図で説明したり、画面表示の仕方を絵で説明するというのは、よく使われる方法です。
いずれにせよ、「要するにどういうゲームなのか」「どういう所が面白いのか」ということが、読む人に伝わることが肝要です。
読む人を意識しないで、自分勝手に書きたいことを書くと、分かりにくい文章になってしまいます。
例えば、そのゲーム独自の固有名詞や専門用語を使いすぎると、読む人は理解しにくくなり、読む気が失せてしまいます。
自分が読んで分かるのは当然として、初めて読む他人が分かるかどうか、相手の身になって客観的に考えることが大事です。
この、「相手の身になって客観的に考える」ということは、ゲーム製作をする上で、とても大事なことです。
なぜなら、ゲームはプレイヤーがプレイしなければ進んでいかないものだからです。進行がプレイヤー任せである以上、プレイヤーの考えを無視してはゲームは成り立ちません。
ですから、企画者は客観性を失ってはいけないのです。
企画書を書く人は熱心ですが、企画書を読む人はそれほどでもありません。ですから、ごちゃごちゃと大量の文章が書いてあると、あまり読んでもらえないことが多いというのが現実です。
シンプルに、重要なことだけ書きましょう。ゲームに直接出てこない設定や、重要度の低い事柄、細かい資料などは、この際思い切って省きましょう。
逆に、アピールすべきポイントに関しては、しっかり説明する事も大事です。他のゲームにもあるような、一般的な部分に関しては、それほど熱心に説明する必要はありません。そのゲームの「売り」について、重点的に説明しましょう。
練習でなく、本気で作るつもりの企画なら、この実現性が重要です。
これは単に、作る事が可能か不可能かというだけではなく、製作の手間など、現実的な事も考えなくてはなりません。
システムとしては平凡なものでも、市販ゲーム並みの超大作となると、実現性が低いと言わざるをえません。
規模の大きすぎるゲーム、手間のかかりすぎるゲーム、技術的に難しいゲーム、構想が壮大すぎるゲームには、手を出さない方が無難です。(そういうゲームを作る実力のある人は、そもそもこの文書を読む必要はありません)
初心者は、自分の力を過信しがちです。また、ゲーム製作の大変さを知らないため、実際には難しい仕事でも、簡単にできるんじゃないかと読み間違えてしまいます。
そういうミスを犯さないためには、本当に実現できるのか、あいまいな部分を残さずに、しっかりと検討しておくことが必要です。「よく分からないけど、多分できるだろう」というようなあいまいな検討で製作を始めると、後で大変なことになります。
ダメな企画書の例をいくつかあげてみます。(あくまで一般的にはということですが)
ゲームのアイディアをとりあえず書いてみた、という感じで、ちゃんとまとまっていないものです。
人に読ませることを意識していない文章も、こういう感じになります。
しっかり項目を分けて、説明するのに必要なことだけ書いていきましょう。
シナリオというのは、脚本のことです。
この場面でこういう出来事がおこり、キャラがこんなセリフをしゃべり・・・といったことが、ずらーっと書いてあるのものです。
企画書の段階では、あらすじで充分です。長々とシナリオを書くと文章量が多くなりすぎますので、やめた方が良いです。
どうしても必要な場合は、資料として別に用意しましょう。
仕様書とは、ゲームの詳細な設定をまとめた文書です。いわば、ゲームの設計図です。
企画書の段階では、詳細な設定は必要ありません。あまり細々としたことを書きすぎると、仕様書風になってしまいますので、注意が必要です。
特に、企画をしたがる人の中には、設定を考えるのが好きな人がいます。それ自体は良いのですが、企画書は設定を説明するための書類ではありませんので、細々としたことを書き過ぎないように、読み手がゲーム全体を把握できることを重視して書きましょう。
「○○みたいなシステム」というように、既存のゲームを例にあげて説明するものです。
確かに、手っ取り早く説明できますし、重要度が低い部分はそれでもいいかもしれませんが、肝心な部分の説明で、これをやってしまうとダメです。
ちゃんと自分の言葉で説明しましょう。企画の最低条件は、自分の考えを人に説明することです。
Last Updated : 2004-11-15
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